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【紙を徹底観察してみよう・マットコート編】印刷の仕上がりに違いはある?インキの乾きが速い紙とは?
【紙を徹底観察してみよう】第3弾はマットコート編です。
パンフレットやチラシなど、幅広い用途で使われているマットコート。種類も豊富にあり、ナチュラルな雰囲気で高い人気を誇る紙です。一方、コート紙や上質紙に比べてインキの乾きが遅いといった特性もあります。
そこで今回は、白さや印刷の仕上がりを比較するほか、印刷作業性や環境面などを考慮したマットコートの選び方をご紹介します。
白さや印刷の仕上がりに関しては、もしかしたら人によって結果が変わるかもしれませんが、今後の紙選びの一助になれば幸いです。
【紙を徹底観察してみよう・上質紙編】はこちら
【紙を徹底観察してみよう・コート紙編】はこちら
マットコートとは
マットコートはコート紙と同様、上質紙や中質紙をベースに印刷の仕上がりを良くする塗料が塗られた紙です。コート紙との違いは、その名の通り紙面が「マット」であること。
コート紙(グロスコートとも呼ばれます)は表面がツルツルで強い光沢感がありますが、マットコートはすべすべした手触りで紙の光沢感が抑えられています。
光の反射が少ない分、文字が読みやすいのが特徴です。
紙面はマットですが、塗料が塗られているため、印刷面にはやや光沢が出ます。コート紙に比べると少し印刷再現性が落ちるものの、上質紙よりは発色が良く、バランスの取れた紙といえるでしょう。
コート紙と同じく、マットコートも塗料の量によってA2マットコート・A3マットコートといったグレードに分類されます。使われることが多いのは、塗工量が20g/㎡前後のA2マットコートです。
そこで今回は代表的なA2マットコートの銘柄を並べて、比較してみました!
使用した銘柄
・雷鳥マットコートZ
高い白色度と自然な白さが特徴のマットコート。白色度89%
・ホワイトニューVマット
ニューVマットの姉妹品で、より白色度が高い。ニューVマット同様、インキの速乾性に優れる。白色度88%
・ミューマット-F
高白色のFSC認証紙。厚物は他の銘柄に比べて若干厚みが薄い。白色度88%
・シルバーダイヤS
関西より西に流通している定番マットコート。東日本におけるユーライトにあたる。白色度87%
・ユトリログロスマットナチュラル
温かみのある白さが印象的。インキのこすれ汚れに強い。白色度86.5-87.5%
・ニューVマット FSC認証-MX
印刷再現性・インキの乾燥性に優れたマットコートの代表的銘柄のFSC品。白色度86-87%
・ユトリログロスマット
ユトリログロスマットナチュラルに比べると青みがかった白さが特徴。白色度84.5%
・OKトップコートマットN
白紙面は落ち着いた白さ、印刷面はインキの光沢が出るダル調の仕上がり。白色度84%
白さを比較してみよう
前回のコート紙、前々回の上質紙と同じように、白色度が高い順に並べて、比較してみました。
左から、雷鳥マットコートZ、ホワイトニューVマット、ミューマット-F、シルバーダイヤS、ユトリログロスマットナチュラル、ニューVマット FSC認証-MX、ユトリログロスマット、OKトップコートマットNです。
並べてみると、それぞれ白さの方向性が違うのがわかります。
ホワイトニューVマット・ユトリログロスマットナチュラルは暖色系の白、そのほかはどちらかというと寒色系の白に見えました。
ちなみに写真ではわかりにくいですが、姉妹品であるホワイトニューVマットとニューVマット FSC認証-MXを比較してみると、ホワイトニューVマットの方が赤味がかった白さになっています。
印刷サンプルを比較してみよう
銘柄によって印刷の仕上がりは違ってくるのか?というのも気になるところですよね。
というわけで、印刷サンプルもじっくりと観察してみました。
写真も違いますし、同じ印刷条件で刷られているわけではないので、少し比較しにくい部分もありますが、印象としては下記のとおりです。
・ニューVマットとミューマットは落ち着いた仕上がり
いずれの紙も紙面はマットで、印刷面は光沢が出ています。
その中で、ニューVマット・ホワイトニューVマットとミューマットはなめらかで落ち着いた印象を受けました。
・シルバーダイヤS、OKトップコートマットNは印刷面のグロスが強め
一方、シルバーダイヤSは印刷面のグロス感が強いように感じました。
車のボディのメタリックな質感もしっかり表現されています。
OKトップコートマットNもメーカーHPの説明文に「ダル調の仕上がり」とあるように、印刷面にしっかり光沢が出ています。「ダル調」とは、紙面がマットでありながら印刷面はグロスに仕上がることです。
・紙の色が印刷に影響する
同メーカーの姉妹品であるユトリログロスマットとユトリログロスマットナチュラルの印刷見本を比較してみると、紙の色が印刷の仕上がりに影響していることがわかりました。
暖色系のユトリログロスマットナチュラルに印刷された方が、少し肌が黄みがかって見えます。
健康的な肌に見せたい場合は暖色系の白が、美白に見せたい場合は寒色系の白のマットコートが合いますね。
このように、同じA2マットコートでも、銘柄によって少しずつ印刷の仕上がりに違いがあることがわかりました。
たとえば、イラストや文字が多い印刷物には落ち着いた仕上がりのマットコートを、鮮やかな色調の写真や料理を美味しく見せたい印刷物には印刷面のグロス強めのマットコートを選ぶと、より内容に合った印刷表現ができますよ。
そのほかの違い
マットコートには白さや印刷の仕上がり以外にも、銘柄によって少しずつ違いや特徴があります。下記に主な3点をご紹介します。
・印刷作業性
可読性が高く、落ち着いた雰囲気で人気のマットコートですが、デメリットもあります。それは、上質紙やコート紙に比べてインキの乾きが遅い点です。
そのため、作業効率が求められる現場ではインキの乾きが速いニューVマットの採用が相次いでいます。FSC品も同じ品質ですので、もちろんニューVマット FSC認証-MXにもインキの速乾性があります。
・FSC認証紙かどうか
上質紙やコート紙と同じように、マットコートにもFSC認証紙があります。
FSC認証紙は管理された森林から切り出された木材を使用しており、森林保護につながる用紙です。
SDGsが浸透してきた昨今、企業が活動する上で環境に配慮することは当たり前になってきています。
環境保護の観点からみると再生紙を使用するのも1つの選択肢ですが、再生紙は白色度が低く、印刷面の光沢感も落ちる傾向にあります。
その点、FSC認証紙であれば、美しい印刷と環境面の配慮が両立できます。
そういった理由から、会社案内やパンフレットなどにFSC認証紙が採用される事例が増加しており、今後も増えていくと予想されます。
今回ご紹介した中では、ミューマット-FとニューVマット FSC認証-MX、FSユトリログロスマット、FSユトリログロスマットナチュラルがFSC認証紙です。
FSC認証紙は需要の高まりとともに、在庫が揃わないことも多くなってきましたが、当社はFSC品も大量に在庫しております。FSC認証紙をご検討の方は、ぜひお問い合わせください。
・厚物がある
「パンフレットと同じ紙でポストカードを作りたいけど、厚みのあるマットコートがない……」
そんな風に悩んだことはありませんか?
多くのマットコートで4/6判135㎏が一番厚くなっていますが、ニューVマットにはニューVマットNAという厚物のシリーズがあります。
ニューVマットNAの厚みは4/6判で160㎏、180㎏、220㎏の3種類です。(キク判もあります)
例えば冊子を作る際に、本文をニューVマット、表紙をニューVマットNAで制作すれば、表紙に厚みが生まれ、高級感のある冊子にできますよ。
まとめ
印刷の再現性も高く、文字も読みやすいことから、冊子やチラシに人気のマットコート。
種類も豊富で、どの紙を選べばいいか迷ってしまうほどですが、じっくり観察してみると少しずつ違いがありました。
マットコートを選ぶ際は、
・紙の白さは暖色系か寒色系か
・印刷は落ち着いた仕上がりかグロス感強めか
・大量に印刷するときなど、作業効率を少しでも早める必要があるか
・FSC認証紙かどうか
・厚物も使いたいか
といった観点から選ぶと、「なんとなくで選ぶ」よりもよりクオリティの高い印刷物ができるのではないでしょうか。
もしも迷われたときは、当社にご相談いただけましたら、制作物にふさわしい銘柄をご提案いたします。お気軽にご相談ください!
※本ページの記載内容は、更新時点での情報になります。
最新の情報につきましては、メーカーHPをご確認いただくか、当社までお問い合わせください。
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