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【実験】ニューVマットは本当にインキの乾きが速いのか?テストしてみた
上質紙・コート紙と並んで代表的な印刷用紙の1つ、マットコート。その名の通りマットな質感で、色の再現性が高く文字も読みやすいことから、パンフレットやチラシなどさまざまな紙媒体に使用されています。
そんなマットコートですが、印刷会社様からこんな声をいただくことがあります。
「コート紙と比べると、後加工のトラブルが多い」
両面印刷するときや出荷時の積み込み、表面加工や折り加工、製本加工などの後加工の段階で、インキがこすれて絵柄が汚れたり、裏移りするといったトラブルです。
実は、マットコートはコート紙と比較するとインキの乾きが遅い傾向にあります。
しっかり乾燥しないうちに加工に入ってしまうと、上記のようなトラブルにつながってしまうのです。
もちろん、印刷会社様の技術力で未然にトラブルを防止いただいていることがほとんどなのですが、紙の乾燥時間が速くなれば、急ぎの案件に対応できたり、万が一のトラブル対応に人手を割かれずにすみますよね。
一般的にマットコートでは、ニューVマットがインキの乾燥が速く作業性が良いという話をよく聞きます。
しかし、印刷の仕上がりはサンプルで確認できても、乾燥性をサンプルで確認いただくことは難しい……。
そこで今回、印刷会社様のご協力を得て、本当にニューVマットはインキの乾燥が速いのか、テストしてみました!
テストの内容
【テスト方法】
・ニューVマットと代表的なマットコート3種類(A、B、C)の計4種類を同じ条件で印刷
・1時間後、3時間後に裏移りが起きているかをチェック
裏移りが少なければ、インキが速く乾燥していることになります。
【印刷条件】
通常、印刷時には裏移りを防ぐためにさまざまな工夫がなされています。
今回はあえて裏移りが起こりやすいように、下記の条件で印刷しました。
・通常よりインキ量を増やす
・裏移りを防ぐパウダーを塗布しない
・乾燥時には重しを置く
印刷のインキは約20分で表面の膜が乾いた「セット」の状態になります。その後、インキが硬化するまで一定時間乾燥させる必要がありますが、今回は実験のため、乾燥開始から約1時間後と3時間後に裏移りがないか確認しました。
【使用用紙】
・ニューVマットFSC認証-MX A判 57.5㎏
・マットコートA A判 57.5㎏
・マットコートB A判 57.5㎏
・マットコートC A判 57.5㎏
【使用印刷機・インキ】
印刷機:小森コーポレーション社製 LITHRONE G37
インキ:スーパーロイヤル 新KNS プロセス CMYK4色
【使用画像】
インキの使用量が増える濃色が多い画像が良いだろうとのことで、黒い犬が写った下記の写真を選定しました。
テスト当日の様子
①印刷
12月某日。今回ご協力いただく印刷会社様にお邪魔すると、すでに印刷機に紙がセットされていました。
今回は4種類のマットコート各250枚を一気に印刷し、その後、銘柄ごとに分けて重しを置きます。
何度かテスト用紙で試しに印刷後、いざ本番です。
印刷機に紙が吸い込まれていきます。
あっという間に4種類刷り上がりました。
刷りたてほやほやの紙を印刷オペレーターの方が問題ないか確認。
OKが出た後に見せていただくと、この時点ですでに違いがありました。
4種類を比較してみると、ニューVマットが元のデータに近い色表現になっている一方、マットコートAは黒や緑が濃く、鮮やかな仕上がりになっています。
CとBはその中間、ややBの方がAに近い濃い色合いのように見受けられました。
そして触ってみると、ニューVマットはさらさらしていましたが、AやBは「まだ乾いていない」と感じられるほどの湿り具合です。
この時点ですでに、ニューVマットの優れたインキ乾燥性を感じさせられました。
②重しをおく
印刷後は、銘柄ごとに分けてパレットの上に設置し、重し(A判 57.5Kgの紙 500枚)を置いて乾燥を待ちます。
1時間後、果たしてどのような結果になるのでしょうか。
楽しみにしながら、一旦現場を後にしました。
テスト結果
①1時間後
1時間経ちました。重しを取って、裏面を見てみます。
まずはマットコートBからです。
写真の赤い丸部分、紙の右端に黒い汚れがみられます。少し裏移りが発生しているようです。
続いてマットコートC。
Cと書いた用紙の横に少し汚れがみえますが、全体的にBよりも裏写りが少ない印象です。
次にマットコートAを見てみると……。
全体的に裏移りが目立ちます。印刷直後の印象通り、あまり乾きが良くないようです。
最後に、ニューVマットを見てみます。
……とてもキレイな裏面です!
厳密に言うとまったく裏移りがないわけではありませんが、目立ったものは見当たりませんでした。
というわけで1時間後は、
ニューVマット・・C・・B・Aの順でインキの乾燥が速い
という結果になりました。
②3時間後
続いて、3時間後も同じように確認してみました。
しかし、どの銘柄も1時間後から特には変わらず。
以後は特に変化はないだろうと判断し、今回の実験は終了となりました。
テストの結果
今回のテストでは、
「ニューVマットは本当にインキの乾燥が速い!」
という結果になりました。
マットコートの印刷トラブルに悩んでいる、乾燥の速い紙を使いたい、といったご要望をお持ちの方は、ぜひニューVマットをお試しください。
インキの乾燥性以外に違いがみられた点
今回の実験はインキの乾燥性に焦点を当てたものでしたが、乾燥性以外にも銘柄によって違いがみられたのでご紹介します。
それは、色の出方です。
同じ写真を同じ条件で印刷しても、銘柄によって色の表現が異なりました。
黒い犬の顔部分を比較してみると、黒の濃さが違うのが分かります。
ニューVマットの黒は少し浅い色ですが、表情がわかりやすく、データに近い色味です。
これは、インキの沈み、定着性が優れているためと考えられます。
だからこそ、乾燥も速いのでしょう。
一方、マットコートAは深い黒が表現できておりグロス感も強いですが、反面、顔の表情がわかりにくいともいえます。
全体的にニューVマットは落ち着いた仕上がり、A・B・Cの順で鮮やかな仕上がりとなっていました。
A・B・Cは表面でインキが定着する傾向にあり、そのためにグロス感が強く出ていると推測されます。A~Cは網点が太りやすいのでコントラストやメリハリが出づらい反面、しっかりした絵柄が表現されているといえるでしょう。
どの紙が良いとは一概には言えませんが、印刷する内容によって使い分けると良いですね。
まとめ
一般的に「ニューVマットはインキの乾燥が速い」と言われていましたが、今回のテスト環境下では、やはり優れた乾燥性を持つことが証明されました。
インキの乾燥が速い紙を使用すると、
・乾燥時間を短縮できる分、急ぎの案件に対応できたり、新しい案件を受注できる
・裏移りなどのトラブル対応の時間を削減できる
・トラブル対応に人員を割く必要がなくなり、人手不足の解消にもつながる
といったメリットがあります。
作業効率が求められる印刷現場では、ニーズが高い紙といえるでしょう。
もちろん、印刷環境によって結果が変わる可能性もあると思いますので、作業効率の良さを一度試してみてはいかがでしょうか?
当社ではニューVマットを常備在庫しており、即日出荷可能です。
ご興味を持たれました方は、お気軽にお問い合わせください。
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