徹底解剖!高級感のある印刷用紙【ラフ・グロス系編】

製品情報

前回の記事「ヴァンヌーボ?アート紙?高級感のある印刷用紙をわかりやすく分類してみた」では、下記の6種類の高級感のある印刷用紙をご紹介しました。

  • ・アート紙
  • ・ラフ・グロス系
  • ・高級塗工印刷用紙
  • ・エンボス系
  • ・非塗工ラフ系
  • ・非塗工スムース系

今回は、ラフ・グロス系の紙に焦点を当てて、その魅力やコート紙との違い、主な銘柄についてなど詳しくご紹介したいと思います。

ラフ・グロス系の紙とは

ラフ・グロス系とは、紙肌はラフでありながら、印刷面はグロスに仕上がる種類の紙です。

インキの発色を良くする塗料が塗られている点はコート紙と同じですが、大きく違うのはその手触り。ふかふかの高級タオルのような、ふんわりとした優しい手触りなのです。
この質感が、高級感を醸し出す最大の要因といえるでしょう。

基本的に、紙は平滑度が高い方が印刷の再現性が高くなります。表面がざらざらしていると光が乱反射し、彩度が落ちて見えるからです。
つまり、ラフな風合いと高い印刷再現性は本来、相反するものというわけですね。

この2つを両立したラフ・グロス系は発売当初、画期的な紙でした。
以後、デザイナーやクリエイターから根強い支持を受け、今では印刷物をデザインする上で欠かせない存在になっています。

※ラフ・グロスは(株)竹尾の登録商標です。今回の記事ではラフ・グロスと同じ系統の紙もご紹介するため、ラフ・グロス系と表記しています。

ラフ・グロス系の紙とコート紙の違い

・風合い
先ほども述べましたが、やはり1番の違いは紙の風合いでしょう。
コート紙はツルツルしていますが、ラフ・グロス系の紙はしっとりとした柔らかな質感です。

2つの違いをイメージ図にしてみました。(※あくまでイメージであり、実際とは異なります)

塗工のイメージ

コート紙はベースの紙の上に塗料が均一にのっていますが、ラフ・グロス系は紙本来の風合いを残しながら塗料が塗られているイメージです。

・嵩高
ラフ・グロス系は紙の中に空気が多く含まれているため、嵩高(軽くて厚みがある)です。
そのため、同じ連量で同じページ数の冊子を作った場合、コート紙よりもラフ・グロス系を使用した方が厚みが出ます。

ページ数の少ない冊子でペラペラした印象を与えたくないときは、ラフ・グロス系の紙を選ぶと良いでしょう。

・白のバリエーションが豊富
ラフ・グロス系は白のバリエーションが多いのも特徴の1つ。

コート紙は1色しかありませんが、ラフ・グロス系はスノーホワイト・ホワイト・ナチュラルといったように白の種類が選べる銘柄がほとんどです。

ラフ・グロス系の主な銘柄

それでは、ラフ・グロス系の主な銘柄をご紹介します。

・ヴァンヌーボV-FS

ヴァンヌーボV-FS

1994年発売のラフ・グロスのパイオニア。
圧倒的な知名度を誇り、高級カタログ、書籍のカバーや帯など幅広く使用されています。

ヴァンヌーボにはいくつか種類があり、V-FSのほか下記の4種類がラインナップされています。

・ヴァンヌーボVG-FS (Vよりも印刷面にグロスが出る)
・ヴァンヌーボF-FS (Vよりも風合いが強い)
・ヴァンヌーボVM-FS (マット仕上げ)
・ヴァンヌーボスムース-FS (比較的平滑度が高く、グロス感も強い)

また、最近では版を使用しないデジタル印刷に対応したヴァンヌーボも発売されています。

・ヴァンヌーボSIJ-FS (高速インクジェット方式に対応)
・ヴァンヌーボLT-FS (HP Indigoデジタル印刷向け)

ヴァンヌーボSIJ-FSとヴァンヌーボLT-FS
左:ヴァンヌーボSIJ-FS 右:ヴァンヌーボLT-FS

・Mr.B

Mr.B

ラフ・グロス系の中でも最高峰のグロス感を誇るのがMr.B。
ポスターなど、遠くからでも目立つことが求められる制作物に最適です。

・ミセスB-F

ミセスB-F


きめ細やかな肌合いで、ラフ・グロス系の中では比較的平滑度が高い紙です。
そのため、網点の再現性が高く、グラデーションなど繊細な表現を得意とします。
冊子や写真集などの本文用紙におすすめです。

・エアラス

エアラス


名前に「エア」とついている通り、空気をたっぷりと含んだ密度の低い原紙を使用しています。
特徴はやはり、ふんわりとした羽根のような「軽さ」

エアラス 4/6判 80㎏はMr.B 4/6判 90㎏と同等の厚みとなっており、約10%も軽量です。

エアラスは「カーテンコーター」といわれる塗工方式を採用しており、塗料を紙のようにふわっと載せるようなイメージで、ムラのない均一な塗工面が作り出されています。
そのため、網点の欠けが最小限に抑えられ、緻密な印刷表現が可能です。

・ハイアピスNEO(F)
しっとりした質感ながら、印刷面は美しいグロスに仕上がるハイアピスneo(F)。

ラフ・グロス系の基本性能を備えながら、退色が少ない・インキの乾きが速いといった印刷会社様に嬉しい特長がある点が魅力です。
また、抄紙と塗工を同じラインで行っているためにコストが抑えられ、価格面でのメリットもあります。

下記は、ハイアピスneo マックスホワイトが使用された書籍のカバーです。

いかがでしょうか?とても美味しそうですよね。

鮮やかな発色と印刷面のグロスが、料理のシズル感を余すことなく伝えてくれています。
料理の写真は、印刷したときにまずそうに見えてしまっては意味がありません。
最適な用紙を選ぶと、料理の持つポテンシャルを最大限に引き出してくれます。

ラフ・グロス系 ポジショニングマップ

左からヴァンヌーボV-FS ホワイト、Mr.B ホワイト、ミセスB-F ホワイト、エアラス ホワイト、ハイアピスNEO(F) ウルトラホワイト

最後に、今回ご紹介した銘柄5種類のラフ感とグロス感を比べてみました。

【ラフ感】
5種類の紙を触ってみた結果、

ヴァンヌーボV-FS>Mr.B>ハイアピスNEO(F)>ミセスB-F≒エアラス

の順でラフ感が強いと感じました。

【グロス感】
こちらは印刷見本をじっくりと眺めた結果、

Mr.B≒ハイアピスNEO(F)>ヴァンヌーボV-FS>ミセスB-F≒エアラス

の順でグロス感が強い印象です。

上記の結果を踏まえ、ポジショニングマップを作成してみました。

ポジショニングマップ

風合い重視で強めのグロス感がほしいときはヴァンヌーボV-FS・Mr.B・ハイアピスNEO(F)を、なめらかで繊細な印刷表現を求めるときはミセスB-F・エアラスを選ぶと良いでしょう。

あくまで感覚で判断したものにはなりますが、ご参考にしていただければ幸いです。

まとめ

紙本来の風合いを生かした手触りと高い印刷再現性を両立し、印刷物に上品な印象を与えてくれるラフ・グロス系の紙。
コート紙と比較して嵩高で、白さにバリエーションがある点も魅力です。

「色の再現性は譲れないけれど、光沢感よりも風合いがほしい」
そんなときはぜひ、ラフ・グロス系の紙をお試しください。

当社では今回ご紹介した銘柄以外にも、多数のラフ・グロス系の紙を取り扱っております。
制作物に合った最適な用紙をご提案いたしますので、迷った際にはお気軽にお問い合わせください。

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